散華の麗人
すると、何かの気配を感じた。
(屋敷の方だろうか。)
そう思っていると、足音がする。
“とてとたーっ”
足音をたてて子供が走って来た。
茶々はきょとんとした表情でそれを見る。
「!」
風正は驚いて子供をひょいと抱えた。
「おい。危ないだろう。」
「わー!」
きゃっきゃと子供は笑う。
「笑い事ではない。」
「時雨どのはぶつかるまえにうけとめるってしってるっ!」
「そういう問題ではない。他の者にぶつかったりしたらどうする。」
「あやまる!」
“廊下を走るな”と忠告したのはこの子供のせいだと茶々は納得した。
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