散華の麗人
お互いに張り詰めた空気が漂う。
「これが、証拠であります。」
こなつは小さな瓶を茶々に差し出した。
「今更……今更……誰かのせいになど、どうしてできましょうか。これは誰のせいでもなく、病のせいだと思ってきたというのに」
「しかし、事実であります。
「いいえ。私は認めません。例えその瓶が毒であったとしても、私は認めるわけにはいかないのです。」
茶々はそう言うと、こなつを見た。
「……あれはただの病なのです。」
強い口調で言うと、くるりと背を向けた。
「お待ち下さい!!」
こなつは茶々を呼び止める。
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