散華の麗人
茶々は足だけを止めた。
「どうか、こなつを斬って下さいまし。」
「理由なくして斬れません。それはただの人殺しです。」
「理由ならば先程申した筈です。」
「私は認めないと申した筈。」
茶々にこなつは縋り付いた。
「どうか……斬られねば、こなつはどうしたら良いかわかりませぬ。貴方様にどう詫びたらよいのか……斬ってくださいまし。斬ってくださいまし!!」
「私は大切な者を失いました。立て続けに……」
脳裏に檍と千代の姿が浮かぶ。
「できるならば、誰にも同じ思いをさせたくはない。私が斬れば、貴方から残された者達はどうなりますか?」
茶々はこなつを見た。
「蘭は貴方の帰りを待ってますよ。お帰りなさい。」
そう言うと、茶々は去って行った。
(蘭……)
少し、友に会いたい気持ちが過ぎった。
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