散華の麗人
奥から人影が現れ、座敷牢の中に入った。
「ここから出たい?」
そう質問する。
その者は橙の髪をしている。
声もどこかで聞き覚えがあった。
布を被っていて顔がわからない。
「君を捕まえたのは他でもない。細川との関わりを持つためさ。」
「私をどうするつもり?」
「もちろん、取引に使う。」
そう言うと枷に触れた。
じゃら、と音を立てて繋いでいる鎖が揺れる。
「だが、条件をのんでくれれば開放してやろう。」
「何よ。」
「強気だな。良いことだ。」
笑って遥葵を見る。
「竜華国の風麗という女を知ってるな?」
その名前には聞き覚えがある。
確か、“散華の麗人”と持て囃されている女だ。
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