散華の麗人
自国のこと

自分が大事なこと

結局は家族のためではない。

「俺は俺のために戦っている。」
そう言うと虚しさが湧き上がる。
「本当は……リアン、お前も守りたかった。」
悔しさで顔を歪めた。
「全てを守るなんて神であろうと無理なんだ。」
そう言うと荷物をまとめた。
「終わったか。」
景之が部屋へ入ると辻丸を見た。
「怪我は平気なのか?」
「あのくらい、怪我のうちに入らぬ。」
そう言うと辻丸の荷物を半分持った。
「行くぞ。」
「え?」
意外な行動に辻丸は目を見開く。
「いや、一人で持てる」
「人間に拒否権はない。」
景之は有無を言わさずに先に行ってしまった。
「……何だ?」
辻丸は信じられない様子で呆然とした。
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