散華の麗人
ぎゃーぎゃーと喚いている女。
それは遥葵だった。
「雅之さん!きいてよー!この優男が」
「おい。あんたは傭兵の癖して秘密厳守出来ないのか。」
青年が溜息を吐く。
「ほう?」
雅之は興味有り気に口角を上げる。
(奏国の逃亡した主君か?)
髪色と目の色を見て思う。
(いや、偶然か。)
それは憶測に過ぎないので声には出さずにいた。
「こんな奴と組んでいるのか?」
その問いは両者にかけたものだ。
「組んでるんじゃないよ。捕まったの。」
「間抜け。」
雅之は呆れる。
「手紙届けたら自由にしてくれるっていうから届けて来た!雅之さんに会えてラッキー!!」
遥葵は言う。
「手紙?」
「内容は知らないけどね。」
にこにこと笑う遥葵に雅之は不可解そうだ。
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