散華の麗人
青年はこれ以上隠し立てすることを諦めたようだ。
「俺達は陸羽派ではない。」
青年ははっきりと言う。
「あんたは細川国王。……いいや。影武者の方か。」
「陸羽派だけでなく、情報が漏洩しているようだな。」
「否定しないのか。」
「しても変わらない。」
雅之は青年に嘲笑する。
「俺は用心棒として主に仕えているだけだ。あのひとの考えはわからない。」
その表情は無関心そのものだ。
「細川がどうなろうと、どうでもいい。」
そう言い捨てて去って行く。
その背に武器が向けられる。
短刀だが、十分に殺傷力はありそうだ。
「戦う気はないけど、死ぬ気もないな。」
青年は気怠げに剣を構えた。
「情報を全て吐いて死ね。」
「断る。」
“キィンッ”
刃がぶつかり、剣撃が何度も反芻した。
「遥葵。」
雅之は静かに呼ぶと、遥葵の襟首を掴んだ。
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