散華の麗人
そして、一正に冷たい視線を向ける。
「不安、なのですか?」
「質問に答えろ!!」
ガタン、と音を立て、乱暴に立ち上がって怒鳴る。
「……らしくありませんね。陛下は余程不安なご様子で。」
「……」
淡々と言う千代を見て、一正は座った。
「そちが、風麗……という名の傭兵ですか?話には聞いております。」
「はい。」
千代が風麗を見ると、風麗は短く答えた。
「茶を入れてください。」
そして、小さな袋を渡すと同時に風麗の耳元に近づき、そっと耳打ちする。
「天井と外に3人」
そう言うと、姿勢を戻し、風麗を見た。
「きれいな髪ですね。橙色、とは珍しい。」
「そのような言葉、勿体のうございます。」
風麗は平伏す。
「頼みましたよ。」
千代は2つの意味で言う。
「はい。」
風麗は去る。
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