散華の麗人
青年もそれを解っていて武器を収めた。
「賢明だ。」
雅之は満足そうに口角をつり上げた。
(嘘がばれるリスクを厭い、事実あるいはそう思っている情報しか言っていないようだ。……容易に信じることは愚かだが、疑いすぎることもないか。)
青年を見て考察する。
「貴様とは仲良くやれそうだ。」
「優しげな言い方は柄じゃないだろう?“良い情報源になりそうだ”と言う方があんたの性に合っている。」
「ふっ、そこまで知られているか。」
青年に不敵な笑みを浮かべた。
(どうやら、此方の情報も握られているらしい。)
そうすると、密告者が居るのではないかと疑う。
「あんたは俺をいくらで買う?」
「取引をしようと言うか。この俺と。」
「それが商売なんでね。」
青年は笑う。
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