散華の麗人
疑心暗鬼
風麗は利光のところに行く。
彼は丁度、柚木邸へ行った帰りのようだ。
身を隠していないことから、陸羽派とは別件だったのかも知れない。
本城の裏口から利光が入るところが見えた。
「川中殿。」
「はい。」
きょとんと驚いた表情の利光に対して風麗は冷静だ。
「こんなところでどうされたのですか?」
「あぁ。柚木殿の屋敷から帰ってきてたのでござ……きてたのです。」
わざわざ言い直した様子を不思議がったが、そこには言及しなかった。
「帰るのに裏口を?」
「特に意味などありませぬ。唯、此方の櫓にも用事があったものですから。」
(本当は、こうして問われるのが面倒だったのだが……)
内心、風麗を鬱陶しく思いながら利光は答えた。
「貴方こそ、こんな所で何用ですか?陛下は居ないようですが。」
「川中殿に会いに。兵から、柚木邸にいると聞いていたので。」
「某に?」
利光は童顔な双眸を丸くしている。
彼は丁度、柚木邸へ行った帰りのようだ。
身を隠していないことから、陸羽派とは別件だったのかも知れない。
本城の裏口から利光が入るところが見えた。
「川中殿。」
「はい。」
きょとんと驚いた表情の利光に対して風麗は冷静だ。
「こんなところでどうされたのですか?」
「あぁ。柚木殿の屋敷から帰ってきてたのでござ……きてたのです。」
わざわざ言い直した様子を不思議がったが、そこには言及しなかった。
「帰るのに裏口を?」
「特に意味などありませぬ。唯、此方の櫓にも用事があったものですから。」
(本当は、こうして問われるのが面倒だったのだが……)
内心、風麗を鬱陶しく思いながら利光は答えた。
「貴方こそ、こんな所で何用ですか?陛下は居ないようですが。」
「川中殿に会いに。兵から、柚木邸にいると聞いていたので。」
「某に?」
利光は童顔な双眸を丸くしている。