散華の麗人
「まるで駄目だな。」
場面は変わり、一正と雅之が対峙している。
パン、と竹刀が弾かれた。
「――!!」
一正は負けじと竹刀を拾い上げようとするが、雅之の足技により体勢を崩される。
「勝負ありだ。」
「負けてない!」
「そういうところが、往生際が悪いと言うんだ。」
「何やと!?」
余裕そうな雅之と反して、一正はぐぬぬと唸っている。
「馬鹿国王。」
そう吐き捨てると一正を蹴り飛ばす。
「貴様が言うから付き合ってやっているんだ。これ以上、我儘を言うな。子供か。」
雅之が呆れる理由は数分前に遡る。
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