散華の麗人
そのことに承諾したから今に至るのだが、往生際が悪いことに勝負がついてかれこれ数分粘っている。
「その根性だけは認めてやる。」
雅之は言う。
「陸羽派や成田のことより、わしは風麗の人生を尊重したい!」
「一国の主たる自覚を持て。」
そして一正の喉元に竹刀を突きつけた。
「何故、俺が止めるかを理解していないようだな。」
見下ろすと一正と視線が合う。
「竜華国にある荘龍山。そこに天狗が居ると知っている。」
天狗とは秋月紀愁……風麗の師の通称だと言わずとも解った。
「何であんたが知っとるんや?隠居の身やろ。」
「そうだ。」
雅之は言う。
「どうしてこの情報を知り得たか。それは、傭兵業界での情報だ。あの女が知らなかったのが意外だったが。」
「そりゃ、どうして?」
「奴が賞金首に上がっている。」
「!!」
その言葉に驚く。
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