散華の麗人
青年は美しい顔を崩すことなく笑う。
「自己紹介がまだでしたね。俺は八雲と申します。嘗ては君と同じ傭兵であります。とはいえ、今は細川家臣として仕えている身ですが。」
そう自己紹介した後にそのままの表情で続ける。
「陸羽派について探りを入れているところですよ。」
美しく微笑みながら言う言葉ではないと風麗は思う。
「皆様、考えることは同じ。疑心暗鬼になっております。お互いに敵味方どちらかと疑っている。」
良くないことだと彼は言う。
「君も、そうでしょう?」
風麗は頷く。
隠すことでもないと思った。
「とはいえ、単に探るだけでは関係が悪化するだけ。機会を伺っているのです。」
八雲は静かに言う。
「ご心配なく。俺は陛下が好きだ。面白いですし。」
ふふふっと笑う表情からは真偽が伺えない。
だが、嘘だとも思えない。
「現国王派として、陸羽派を止めたいと思う。君と同じです。」
そう言うと会釈する。
「それでは。」
八雲が去るのを風麗は黙って見送った。
(疑心暗鬼、か。)
そうかも知れない。
彼が言う話は正論だ。
「自己紹介がまだでしたね。俺は八雲と申します。嘗ては君と同じ傭兵であります。とはいえ、今は細川家臣として仕えている身ですが。」
そう自己紹介した後にそのままの表情で続ける。
「陸羽派について探りを入れているところですよ。」
美しく微笑みながら言う言葉ではないと風麗は思う。
「皆様、考えることは同じ。疑心暗鬼になっております。お互いに敵味方どちらかと疑っている。」
良くないことだと彼は言う。
「君も、そうでしょう?」
風麗は頷く。
隠すことでもないと思った。
「とはいえ、単に探るだけでは関係が悪化するだけ。機会を伺っているのです。」
八雲は静かに言う。
「ご心配なく。俺は陛下が好きだ。面白いですし。」
ふふふっと笑う表情からは真偽が伺えない。
だが、嘘だとも思えない。
「現国王派として、陸羽派を止めたいと思う。君と同じです。」
そう言うと会釈する。
「それでは。」
八雲が去るのを風麗は黙って見送った。
(疑心暗鬼、か。)
そうかも知れない。
彼が言う話は正論だ。