散華の麗人
兵士は一正に対して不満を持っていた。
『陛下は、祭りかと思えば、戦だ。こっちの身にもなれっての!!』
『全くだ。疲れるわ、死にかけるわ、碌なことがねぇ!!』
そして、口々に不満を吐露していた。
しばらくすると、小柄な子供が茶を運んできた。
『!』
兵士たちが子供を見る。
黒髪を高い位置で1つに結んでいる。
貧相な格好にもかかわらず、秀麗な姿は誰の目をも引くものだった。
まだ幼く、男女が判別できない。
『かたじけない。』
しかし、その子供が長髪だったため、女子と思い、兵士たちは笑んで礼を言った。
『お勤め、ご苦労にござります。』
幼い容姿とは裏腹に、凛とした声音で言う。
そして、茶菓子と、小さな袋を手渡した。
『これは、精神を落ち着かせる作用がある茶葉にあります。僭越ながら、私が煎りました。』
『ほう。』
兵士たちは感心したように言う。
『戦は何より、冷静さが第一。それを欠けば、判断ができず、最悪のことになります。』
その言葉に兵士達はただ驚くばかりだった。
千代はそこまでのことを話すと面白そうに笑った。
「中々、利発で賢い子だったとか。」
「へー!わしも会ってみたいな!!」
一正は明るくはしゃぐ。
「成田へ向かう途中にあります。馬休めにでも寄りましょうか。」
千代の優しい声に子供のように一正は頷いた。
「ええんか?ええんか??」
「はい。」
まるで、親子のようにも見える。
(あれでも……国王なんだよな。)
風麗は遠い目をした。
『陛下は、祭りかと思えば、戦だ。こっちの身にもなれっての!!』
『全くだ。疲れるわ、死にかけるわ、碌なことがねぇ!!』
そして、口々に不満を吐露していた。
しばらくすると、小柄な子供が茶を運んできた。
『!』
兵士たちが子供を見る。
黒髪を高い位置で1つに結んでいる。
貧相な格好にもかかわらず、秀麗な姿は誰の目をも引くものだった。
まだ幼く、男女が判別できない。
『かたじけない。』
しかし、その子供が長髪だったため、女子と思い、兵士たちは笑んで礼を言った。
『お勤め、ご苦労にござります。』
幼い容姿とは裏腹に、凛とした声音で言う。
そして、茶菓子と、小さな袋を手渡した。
『これは、精神を落ち着かせる作用がある茶葉にあります。僭越ながら、私が煎りました。』
『ほう。』
兵士たちは感心したように言う。
『戦は何より、冷静さが第一。それを欠けば、判断ができず、最悪のことになります。』
その言葉に兵士達はただ驚くばかりだった。
千代はそこまでのことを話すと面白そうに笑った。
「中々、利発で賢い子だったとか。」
「へー!わしも会ってみたいな!!」
一正は明るくはしゃぐ。
「成田へ向かう途中にあります。馬休めにでも寄りましょうか。」
千代の優しい声に子供のように一正は頷いた。
「ええんか?ええんか??」
「はい。」
まるで、親子のようにも見える。
(あれでも……国王なんだよな。)
風麗は遠い目をした。