散華の麗人

鍛錬をして数日が経つ。
惣右介と茶々は基礎を身につけている。
茶々はみるみる頭角を現し、風正を驚かせることが多々あった。
惣右介は剣術よりも受身の方が上達しているようだった。
その理由は、風正を度々怒らせているせいなのだが。
風正と同じ部屋を使っていた茶々だが、風正が“政務に集中したい”と言うので仕方なく外へ出ることにした。
鍛錬をするつもりでいた。
（相変わらずだ。）
はぁと溜め息を吐く。
風正から文字の読み書きや剣術を習っている身で文句を言うつもりはないが、邪魔するわけではないのに追い出すのは少し理不尽に思えた。
部屋を出ると、敦賀と笹川がいた。
「！」
茶々は思わぬ来客に驚く。
笹川は同じ家臣だから不思議ではないのだが、まさかこの屋敷に居るとは思わなかった。
「どうされたのですか？」
「……何だ？そんなに珍しいか？」
珍しげに見る茶々に敦賀は笑って言う。
「お２方は仲がよろしいので？」
「まぁ」
「め、滅相もない！！」
敦賀の返事と被るように、笹川が慌てて答える。