散華の麗人
余程、焦っているのか、言葉よりも手振りが先に出ている。
「なんだ。お前は我が嫌いか。」
「いいえ!」
敦賀がやや惚けた感じで言うと笹川が即座に否定した。
「あの、そ、某には勿体なきにて……」
「家臣同士、気遣いは無用だ。」
「すみません……」
「謝るでない。」
敦賀に笹川は俯いて答えた。
(なんか、この2人……)
茶々は2人をじっと見る。
「こやつは共にいて楽しい。」
「勿体なきお言葉。」
楽しむような敦賀に笹川は照れる。
自分と共にいることを楽しいと言う人の存在に、喜びと同時に気恥ずかしさを感じているようだ。
(羨ましい程、仲がいいな。)
茶々は羨ましそうに2人を見る。
「どうだ?お前も共に茶でも飲まぬか?」
「よいのですか?」
驚く茶々に2人は頷く。
「貴方がたてたお茶は美味しいと評判です。ぜひ、某も吟味したいものです。」
「そう言っていただけるとは、嬉しい限りです。」
笹川に茶々は本当に嬉しそうに笑った。
「では、行くか。」
敦賀が歩き出すと、笹川と茶々も後ろから着いて行った。
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