散華の麗人
日が暮れて、雅之が戻ってきた。
「引きこもり野郎はどうしてる?」
相変わらず、容赦ない。
風麗は何と答えればいいのか分からずに利光を見る。
「今は眠っております。」
「そうか。」
利光に“ご苦労”とひと声かけて中に入る。
それを見た利光は自分は居なくていいと悟ったのか、その場を後にした。
「おい、そこの案山子。」
そう言われて風麗は雅之を睨む。
「案山子とは何だ。」
「案山子とは畑に立っている鳥よけだ。」
「そんな事を訊いているのでは」
「突っ立っているだけならば案山子の方が役に立つ。」
「人の話を聞け。」
風麗は雅之に反論するが雅之は聞く耳を持たない。
「ここで待てと言われたから居るだけだ。」
「では、来い。」
雅之は偉そうに指図する。
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