散華の麗人
それを聞いてた2人は“やはりな”という顔だ。
「女同士の争いは恐ろしいものですよ。」
風麗は眉を寄せる。
「あの後、嫌がらせが続いたようですよ。お互いに嫌がらせし合っているので、取るに足らないと思いますが。」
「兵士と侍女は根本的に馬が合わない。それは今に始まった話ではない。」
雅之は言う。
「国王。これをどうする?」
態と国王と呼ぶ雅之。
「……それを思いつけば、喜んで今すぐ部屋を飛び出すんやけどな。」
観念したのか、一正は起き上がった。
「だが、いつまでもこうしてはおれんか。」
一正は考える。
そして、雅之を見た。
「1つだけなら解決の可能性を見出しとる。」
「ほう?」
雅之は目を細めた。
一正の考えを知っているという表情だ。
「だが、その手は避けたい。」
その言葉に風麗が不思議そうにする。
風麗にはわかっていないようだ。
「どうするつもりだ。」
雅之は催促する。
「未だ、好きにさせておく。あんなものに構っている暇はない。」
そう答える一正は冷めた表情だ。
「陸羽派のことで今動いても、相手の思うツボや。」
「そうか。」
雅之は頷く。
「では、貴様の代わりに精々政務に励むとしよう。」
そう言って去った。
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