散華の麗人
それを聞いて、2人は考え込んだ。
「……この作戦は敵を一気にどれだけ引き付けられるか。そして、それに耐え得るか。それにかかっとる。」
一正は眉間に皺を寄せた。
「大村隊が到着し次第作戦を立てる。」
そう言って一気に茶を飲み干した。
そして、千代を見た。
「あんたはどうする?本城に帰るか?それともここに」
「いえ。」
千代ははっきりと遮った。
「共に参ります。」
茶を一正と同じように一気に飲み干すと断言した。
「はぁ!?」
一正は驚いて立ち上がる。
千代も同じように立ち上がった。
「あんたは馬鹿か!!」
「そちに言われるほど馬鹿ではありません!!」
“バシンッ”
刹那、一正を張り倒した。
「だからこそ、戦では頭脳の働きをしたいのです。」
「そんな」
「危険は承知の上。しかし、わらわは絶対にこの想いを譲るつもりはありません!!国王の妻として、支えたいのであります。」
一正に有無を言わせずに言って、懐から小刀を出した。
「もし、叶わぬならば……覚悟は決めています。」
そう言って素早く鞘を抜き、刃を自分に突きつけた。
「な!!」
一正が動こうとしたが、本当に刺しかねないのでやめた。
「お答えを!!」
「やめろ!」
「いいえ。わらわの覚悟は生半可ではない!!」
そう言って聞かない千代を見て、風麗に助けを求める。
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