散華の麗人
その笑みに女は恐怖する。
「そんなこと、出来るわけない。」
「なぁーに、かんたんだよ。」
今度は紅巴が答えた。
「利害が一致してるのさ。」
紅巴は景之の喉元に触れる。
「きみをころしたら、ぼくがこのひとをころす。それだけさ。」
そう言われる景之の表情は変わらない。
酷く冷酷な笑みをたたえ、女を見据えた。
「それに。」
紅巴は言う。
「ぼくがこうしていられるのは、このひとのおかげでもあるし。」
そう言われて女は景之を見る。
「とうとう、化物に成り下がったのね。」
「そうだ。」
景之は動じない。
わらったままで女に歩み寄る。
「失うものなど、何も無い。」
「さぁ、はじめようか。」
紅巴と景之は視線を交わして、女を見た。
“ガキィン”
女へ二人が向かおうとした時、何かが阻んだ。
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