散華の麗人
景之は“ちぃっ”と舌打ちをする。
「ねぇ、ころしていい?」
紅巴は景之に言う。
「駄目だ。」
景之はそう言うと息を吐いた。
「休戦だ。伊井薫。」
静かに名前を呼ぶ。
「忘れるな。貴様を殺すのは俺だ。」
「ふふふ、楽しみね。」
伊井と呼ばれた女は柚木の方に歩む。
「この者の身柄は預かる。」
柚木は伊井と共に去った。
その行く末を景之は睨む。
紅巴が物言いたげに景之を見たが、景之は首を振る。
「また今度だ。」
「あきらめがいいんだねぇ。」
「俺一人の私怨で家臣を巻き込めない。この件で柚木に引き渡さなければ八倉家の立場が悪くなる。俺らは中立であり、波風は立てない。」
「そのきになれば、にんげんになんてまけないよ?」
「その気になれば、な。」
景之は僅かに目を閉じた。
息を吸い、目を開くといつもの無感動な視線で周囲を見渡す。
「あの傭兵が負傷者を救護している。貴様は戻れ。」
「しょうがないなぁ。」
紅巴は静かに姿を消した。
「ねぇ、ころしていい?」
紅巴は景之に言う。
「駄目だ。」
景之はそう言うと息を吐いた。
「休戦だ。伊井薫。」
静かに名前を呼ぶ。
「忘れるな。貴様を殺すのは俺だ。」
「ふふふ、楽しみね。」
伊井と呼ばれた女は柚木の方に歩む。
「この者の身柄は預かる。」
柚木は伊井と共に去った。
その行く末を景之は睨む。
紅巴が物言いたげに景之を見たが、景之は首を振る。
「また今度だ。」
「あきらめがいいんだねぇ。」
「俺一人の私怨で家臣を巻き込めない。この件で柚木に引き渡さなければ八倉家の立場が悪くなる。俺らは中立であり、波風は立てない。」
「そのきになれば、にんげんになんてまけないよ?」
「その気になれば、な。」
景之は僅かに目を閉じた。
息を吸い、目を開くといつもの無感動な視線で周囲を見渡す。
「あの傭兵が負傷者を救護している。貴様は戻れ。」
「しょうがないなぁ。」
紅巴は静かに姿を消した。