散華の麗人
風麗が去る背中を見送る。
「で、何か思惑があるんやろ?」
一正は疑う。
「八雲は情報通だ。先日、貴様らが竜華国に向かうなどとほざいた後に奴を向かわせた。」
「え?」
「充分な情報とあの傭兵の実力であれば問題ないと思ったまで。以上だ。」
雅之は腕を組む。
「……」
少し黙り込んだ。
「……死んでからでは、遅いからな。」
そう言った気がしたが、直ぐに懐から書状を出すと一正に押し付けるように渡した。
「柚木からだ。なんでも、戸尾黨和が八倉家を襲撃したらしい。」
その書状には、戸尾が伊井薫を捕らえたことと八倉家襲撃について書かれていた。
最終的には柚木が伊井を引き受け、今は地下牢に居ると書いてある。
「直ぐに柚木家へ」
“行くぞ”とまでは言えずに咳き込む。
「ごほ、……行くぞ。」
一正はそれでも行くというような顔だ。
雅之は一瞥し、一正の腕を掴むと引きずるように部屋に移動した。
ばたばたと抵抗されたがお構いなしだ。
「で、何か思惑があるんやろ?」
一正は疑う。
「八雲は情報通だ。先日、貴様らが竜華国に向かうなどとほざいた後に奴を向かわせた。」
「え?」
「充分な情報とあの傭兵の実力であれば問題ないと思ったまで。以上だ。」
雅之は腕を組む。
「……」
少し黙り込んだ。
「……死んでからでは、遅いからな。」
そう言った気がしたが、直ぐに懐から書状を出すと一正に押し付けるように渡した。
「柚木からだ。なんでも、戸尾黨和が八倉家を襲撃したらしい。」
その書状には、戸尾が伊井薫を捕らえたことと八倉家襲撃について書かれていた。
最終的には柚木が伊井を引き受け、今は地下牢に居ると書いてある。
「直ぐに柚木家へ」
“行くぞ”とまでは言えずに咳き込む。
「ごほ、……行くぞ。」
一正はそれでも行くというような顔だ。
雅之は一瞥し、一正の腕を掴むと引きずるように部屋に移動した。
ばたばたと抵抗されたがお構いなしだ。