散華の麗人
そして、2人は沢川と共に馬で竜華国へ行った。
先頭を沢川が走り、後ろに風麗と八雲が馬を並べて走っている。
「そういえば、沢川殿は竜華国出身でしたね。」
「はい。一応は。」
“ハッ”と馬に鞭を打ちながら、沢川は答えた。
「珍しいですね。竜華国の者が細川にいるなんて。」
「かつて、竜華国の小さな村で領土争いがありまして……その戦に父がいたので、竜華国内に母もいました。某は、その最中に生まれたのです。」
「細川で家臣としてやっていくのは大変でしょう。他国というだけで、差別されると聞きます。」
「まぁ。しかし、陛下……一正殿や皆様のおかげで上手くやってます。」
驚いた風麗に沢川は答えた。
陛下と言ってしまうことを少し決まりが悪そうにするのを風麗と八雲は苦笑した。
気持ちはわかる。
二人も、沢川がそう思うように一正に国を治めて欲しいと思っている。
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