散華の麗人
月夜は愉快そうだ。
「あんなので、簡単に行動に出るなんて、ね。」
くすくすと笑う。
「……これで、こちらが苦戦する。」
リアンは笑む。
「後は、この国に滅んでもらおう。」
「我が国のものに。」
「それこそが清零国王の願い。」
真の目的だ、と言いながら目を細めた。
そして、真剣な眼差しをする。
「これでまた、位が上がる。なんて、虫がいい話ですが。」
「おうさま、も、近いかもね。」
月夜は無邪気に笑んだ。
「いいえ。王にはなりませんよ。」
リアンはクスクスと笑んだ。
「命を狙われる立ち場な上、実質、政治に関わるのは大臣だ。」
そう言うと、襖の向こうを見た。
「おや。もうすぐ来るようですよ。」
月夜は頷いて、笑みを消した。
リアンが口角をつり上げる。
「どんな作戦でしょうね。楽しみです。」
(所詮、天下のための布石に過ぎませんが。)
それを見て、月夜も口角をつり上げた。
(天下なんていらないわ。)
そして、リアンを見る。
(リアン様の為に生きる……それが、私の……私達の、しあわせ。)
「ふふふ……」
月夜の恍惚とした笑い声が響く。
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