散華の麗人
そこで、風麗が怪訝そうな表情になった。
「貴方は細川の者ではありませんよね?」
「当然です。」
「ならば、何故、細川の家臣である沢川についてそんなに知っているのですか?」
「これは、名乗りもせずにご無礼致しました。私は幸信様の妹である汐の娘。沢川千にあります。」
「ということは、親戚なのですか。なんで、竜華国に?」
「一正殿の命令です。」
千に問う風麗に八雲が言う。
「汐さんの夫、治重殿は戦場で謝って味方に攻撃をした。それで、一家を追放したのです。」
「それだけで追放だなんて」
「そうでもしないと、あの場は治まらなかった。」
八雲は苦い表情で答えた。
そのことに少なからず関わったことがある顔だ。
あるいは身内が関わっていたのだろう。
「すまないことをした、と一正殿は言ってました。」
「いえ……わかってましたから何も恨みはありませぬ。」
そう言うと千は沢川を見た。
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