散華の麗人
一正はぽかんとした顔をしている。
「良寧、といったけなぁ。八倉家の研究に携わったひとだと聞いたことがある。」
「はい。そして、ゆきちゃんのおくさんです♪」
その発言に雅之が一瞬面食らった顔をした。
しかし、景之の顔を見て嘘だとわかったのか、元の表情になった。
「その戯言は毎回言うつもりか?」
「もちろん!」
少年はため息にも聞こえる声音で息を吐く。
そして、何事か考えて一正を見た。
「茶番はさておき、此処に至る経緯を説明しよう。そうでなければ、納得がいくまい。」
「是非、そうしてくれ。」
一正は呆気にとられた顔をした。
「戸尾率いる軍が我ら、八倉家を襲った。このことは、既に現国王及び隠居の耳にも届いているだろう。」
「あぁ。」
「そこで、救援として柚木が来たことも。」
「知っとる。」
淡々と言う少年に一正は頷く。
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