Ending Note〜the answer〜
けれど私がそう言わないのは、私と蛍ちゃんがこの世で2人きりの姉妹だから。
蛍ちゃんの実の子である千春や虎太郎、そして最愛の夫でもあるお義兄さんよりも、もっと長い時間を共有してきた私だから分かる、蛍ちゃんの“真実”。
「……ごめん、蛍ちゃん。私、理解できないんだけど」
「あぁ、そうだね。突然こんな話されたら誰だって混乱、」
「そうじゃなくて!」
「…………?」
急に大きな声を上げた私を、蛍ちゃんはきょとんとした顔で見ている。
「なんで手術しないの? 1年近くも放置? 悪性の腫瘍だって言われたのに」
「いや、それはね、」
「蛍ちゃんさ、独身の私とは違って家庭持ってんだよ? 千春と虎太郎、お義兄さんのこと考えてる?」
「ごめん、言い方が悪かったね」
真顔になった蛍ちゃんを見て、心臓がどきりと大きな音を立てた。
あぁ、しまった。
マジメに抗議するべきじゃなかった。
こんな切実な話題を真顔でするのは、とても、とても苦手。
ヘラヘラと笑いながら受け入れたかったのに。