Ending Note〜the answer〜
「……私、帰る」
静かに腰を上げた私を、蛍ちゃんは引き止めなかった。
「また、来てね。気が向いたら」
……絶対に来てあげないから。
こんなにも薄情な姉が住むこの家になんか。
蛍ちゃんの家族は千春や虎太郎、お義兄さんだけじゃないんだよ?
私は?
実の妹でもある私の気持ちも考えてよ。
お父さんとお母さんが死んで、今度は蛍ちゃん?
私と蛍ちゃん、いずれはどちらかが先に死ぬのだろうけど、こんなにも早く“そのとき”が来るなんて、あまりにも酷すぎる。
「……蛍ちゃん」
玄関まで見送りに来た蛍ちゃんに、私は消え入りそうな声で言う。
「……私、蛍ちゃんと縁を切りたい。他人になりたい」
ひどいことを言う私に、蛍ちゃんは、ふっと静かに笑う。
「私もよ、静子。あんたと他人になりたい」
同調するのは、やっぱり私たちが血の繋がった姉妹だから。
泣きそうになった私は、逃げるようにして蛍ちゃんの家を後にした。