Ending Note〜the answer〜


蛍ちゃんの家を出てすぐ、私はバッグからスマホを取り出し操作する。



「もしもし? 今すぐいつもの場所に来て。今日は休みだったよね? ……え? 靴を買いに行く? そんなもん今日じゃなくたっていいでしょ!」



電話の相手は仕事が休みの今日、のんびりと靴を買いに行く予定だったらしい。



……靴なんて。

会社帰りに買えばいいじゃない。



とにかく1人でいたくなくて。

本音をさらけ出せるこの電話の相手と今すぐに会いたかった。



「……ありがとう。私の方が先に着くから、中で待ってる」



電話の相手は、同じ会社の後輩・市瀬健太。

市瀬が新入社員として私がいる部署に配属されてきたときからの付き合いだ。


2つ年下の市瀬とのあいだに、恋愛感情などという生ぬるい温度は存在していない。


互いに結婚してもいい年頃だというのにこれという相手もおらず、私も市瀬も“仕事が一生の伴侶”などと、本音なのか意地を張っているのか、よく分からないことを公言している。



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