Ending Note〜the answer〜
蛍ちゃんが死んだ夜。
私は市瀬を呼び出して、いつもの居酒屋に行った。
生ビールをぐいぐい飲み干しながら、ぽろぽろと止め処なく涙があふれた。
そんな私の背中を市瀬は優しく、ゆっくりとさすってくれた。
――“いっぱい泣いてください”
そう言って。
私は自分が強い人間だと思っていたけれど、蛍ちゃんが死んだのを機に、意外とヘタレであったことに気づく。
通夜の日。
告別式の日。
両日とも、会場の入り口まで市瀬に付いて来てもらったのだ。
この会場に足を踏み入れる瞬間、私は強い人間にならなきゃいけない。
その理由は、千春と虎太郎。私の大切な甥っ子と姪っ子。
母親である蛍ちゃんを失った今、私はグズグズと泣かずに、2人の悲しみすべてを受け止めたいと思ったのだ。