それでも君を好きになる
君が、
なぜかいる
「なー、お前さー。」
「何。」
「見ない間に太った?」
「とりあえず殴っていい?」
「どーぞ、殴れるものなら。」
そう言うとそいつは、ケラケラ笑いながらふわりと天井まで浮かび上がった。
ミルクティー色の髪の毛が揺れるのを視線で追いかける。
空中で一回転して得意気に笑っているそいつを見て、あたしはため息を吐いた。
殴れるわけ、ないんだ。
だって彼の体はどんなものをもすり抜ける。
もちろん、あたしの拳だって。
そいつは飛び回ることに飽きたのか、今ではベットの上に肘をついて横になっている。
あたしはその姿をジィッと見つめて、頭の中を整理していく。
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