それでも君を好きになる

笑うから






「ハル、外行こう。」

「え、やだ、暑い。」




バッサリと断られた。



何こいつ、ムカつく。



ていうか幽霊って暑さとか感じるんだ。




「いいから行くよ!」

「えー、ったく…。」




なんでそんな文句を言われなきゃいけないんだ。



ひと睨みしてからハルを置いて1人で部屋を出た。



廊下を裸足でペタペタと歩いて階段を降りてから玄関へ向かうと、お母さんに「どっか行くのー?お昼ご飯は?」と声をかけられた。




「ちょっと散歩してくる。お昼ご飯はいらない。」




簡潔にそう答えて去年の夏に買ったサンダルを履いた。


そういえばこれも、ハルと一緒にいたときに買ったんだっけ。



少し考え込んでいると背後に人の気配を感じて振返る。



そこにはハルが膝より少し長めの丈のチノパンのポケットに両手を突っ込んで立っていた。



玄関に腰をかけているあたしを、不機嫌そうに見下ろしている。




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