それでも君を好きになる
「いこっか。」
「……。」
無視ですか。そうですか。
あたしもそんなハルを無視して立ち上がり、台所にいるお母さんに聞こえるように声を上げる。
「行ってきます。」
お母さんからは「はーい!」とあたしよりも大きな声で返事が返ってきた。
それに小さく笑って、玄関のドアを開けた。
「あっつ!」
やばい暑すぎる!
一気に熱気が押し寄せてきて、思わずドアを閉じてしまった。
これはやばい。異常気象じゃないのこれ。
夏ってこわい。
どうしたものかと迷っていると、後ろでハルが笑っている。
「ほらなー。だから言っただろ。」
振り返ってみると得意気な顔をしているハルに、ムッと眉間にシワを寄せた。