それでも君を好きになる
浮き出てくる汗を時々拭いながら、何気なくハルの足下を見る。
黒と白のシンプルだけどお洒落なスニーカー。
そうだ。サンダルを買ったとき、ハルはこのスニーカーを買ったんだ。
お気に入りだったらしくたまに学校にも履いてきてたけど、汚したくないと言って、本当にたまにしか履いてこなかった。
ハルは部屋でも靴を履いたままだった。
別に床は汚れないようだからいいんだけど、彼はもう、靴を脱ぐことも出来ないのだと、
そう思うと胸が苦しくなった。
2人で並んで歩き続けて住宅街を抜けた頃。
やっとあたしの頭の中に、ある場所がポンと浮かんできた。
ハルの名前を呼ぶ。
「ん、どした?」
顔だけこちらを向いたハルの顔は、汗なんて少しもかいていない。
肌が白いのはもとからだけど、今は血の気が全然ない。
どうしてもハルは、あたしとは違う存在なんだろう。
「学校に行こうか。」