それでも君を好きになる
ふ、と可笑しそうに笑ったハルに首を傾げる。
「相変わらずハッキリ言うな。」
「まあね。」
「…だよなー。なんで死んだはずなのにここにいるんだろう、俺。」
「……。」
笑ってる。
別に自分の命が消えたことなんて何も気にしてないというように、笑ってる。
ハルは生きてる頃からこういうところがあった。
自分のことに未練がない。
そういうとこが、あたしは少し怖かった。
「つまり俺、幽霊ってことだよな。」
「そういうことだね。」
ハルの言葉に頷く。
幽霊、ってこんなんなんだ。
ハルは足がちゃんとあるし、体が透けている訳でもない。
だけど――。
そっとハルの髪の毛に手を伸ばしてみる。
彼が生きてた頃、あたしはフワフワと柔らかい彼の髪の毛を触るのが好きだった。
同じような感触を求めて髪の毛に触れようとする、けど。
あたしの手はハルをすり抜けて、後ろの空気をつかむだけ。
…ハルは足もあるし体は透けていない。
だけど。
触れることはできない。