それでも君を好きになる
手にはお玉を持っている。
そんなに焦らなくてもよかったのに、とこっちが冷静になってしまう。
だけどまだ困惑していたあたしは、ベットで二度寝に入ったハルを指差しながら
「な、なんかいる!」
「え、なにがいるの?虫?ゴキブリ?」
「虫のような、そうじゃないような…!」
「おい。俺は虫じゃねぇ!」
「はぁ?何もいないじゃない。」
「え…、」
二度寝してたはずのハルが文句を言ってくるのを無視しながらお母さんに訴えたけど。
お母さんにはハルは見えていないようだった。
最終的には呆れたようにため息を吐かれた。
「もう、寝ぼけてるの?夏休みだからって、ダラダラしないでよー?」
そう言い残してお母さんはお玉を持って部屋を出て行った。
そ、そんな…。