恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
恥曝しな私達
あつそー……
カーテンの隙間から差し込む日差しは梅雨明けを思わせる。
外出予定を思い出してウンザリしていた時だった。
休日の朝っぱらから無遠慮に鳴るインターホン、応答を待たずに2回。
時間帯は珍しいものの、鳴らし方には覚えがあった。
食後のコーヒーを片手に玄関に向かい、ドアノブに手をかけたところで。
出掛けチェック用の姿見に映る自分に目が止まる。
「あー…」
夏場のパジャマがわり、キャミにショーパン。
すっぴんにボサボサのロングヘア。
考えた末。
………ま、いっか。
結局開けた。
それ程気を使う相手でもない、多分。
「おせぇよ、まだ寝てた?
っつか、そのカッコ……ひでぇ」
開けたと同時にするりと入り込んだヤツは思った通りの人物で。
私の格好を見て、鼻で笑った。
朝一、迷惑な時間ってわかっていないのか。
やかましいわ、と言い返そうと顔を見上げて、目に入ったものに数秒、口が開いたままになった。
「なに、それ」
見慣れた顔に三本くっきり、ひっかき傷があったから。
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