恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
そんな怖い顔されてもわからないものはわからない。
第一、だ。



「遊び相手には家も職場も教えることはないんだけどなぁ」



ラブホから尾行されたとか?
いやいや。


そんな粘着質っぽいのは相手にした覚えは。
いや、わからなかっただけで、そういう人間もいたかもしれない。



「まぁ…考えたって仕方ない、ほどに遊んだってことはよくわかった」

「いやぁ、そんな。最近はめっきり合コンも減ってましたし」



笹倉の相手が大変で。あの人サルなだからねー…とか冗談でも言おうと思ったけど、藤井さんの顔がこれ以上に怖くなりそうなので余計な口はつぐんだ。


じ、と私に目線を置いたままの藤井さんに気がついて、首を傾げて訪ねる仕草をする。



「お前さ、気をつけろよ。夜、遅い日もあるんだろ」

「うん?そうですね、10時とか。忙しい時期は終電になることもありますけど」

「さっきの非通知とか、な。もしかしたら同一人物かもしれないだろ」



ポストの嫌がらせと、さっきの非通知が?
確かに、タイミングよくかかってきていた気はするけれど。



「もし同じ人物がやってたら、の仮定の話だけどな。俺らがポストのところにいて、ゴミに気がついて、家に入るまで。どこかから見ながらかけてたのかもな、てな」

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