恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
「商品が全然違うじゃない!頼んだのはこっち!ジュレのセットなのに……夏向けだからって勧めたのはそっちなのに、なんでミスるのよ?!」


女性が指差したのは、夏向けの季節商品だった。
用意したギフトセットとは値段は同じでも箱の形が全く違うので、包装してあってもすぐに気付いたのだろう。


これはマズい。
この商品、今朝バカ売れして在庫がないじゃん……


カナちゃんもわかっているから、青ざめてるのだと気付いた。


注文時対応したの誰だ……
とかよぎったけれど、今考えるべきはそこじゃない。



「大変申し訳ごさいません。すぐに商品の確認を致しますので、お時間を…」

「だから、そんな時間無いのよ!用が済んでもう帰らないといけないし、それ、明日に朝から必要なものなのよ?!」

「申し訳ごさいません。すぐに…」

「電車の時間もあるのに…もう、どうしてくれるのよ!」


怒っているというより、焦っているのだろう。
近くの支店で商品確保が可能か、連絡をとりたいが女性のとりつく島がない。

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