恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
「え…えぇ?」
バッグをまさぐりながら、思わず振り向いた。
冗談かと思えば、案外真面目な表情だった。
「ほら、親って。子供本人より周辺が見える方が安心することってあるじゃない。それに、みさとお母さん、二人きりじゃなくてたまには違う風いれたほうがいいのかも」
「………そう、かな。…かも」
ふたりだけの世界に閉じこもってる抽象的だが的確な画が想像できた。
言われてみれば、頷ける。
携帯を探り当てた手がぱかりと開く。
「……ぶふ」
思わず吹き出した。
「どうしたの?」
「違った、笹倉だった。まさかほんとに男子会してるんじゃないよね」
恵美を見れば、男子会の画面を思い浮かべたのか微妙な笑顔を浮かべていて、多分、今私もそんな顔をしてるんだろう。