恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
岐路にいると気づく時
◇
三輪さんは、こちらが驚くくらい何事もなかったように出勤してきた。
朝、普通に挨拶しながら眼前を通過していく後ろ姿を見送って、釈然としないながらに安心した。
昼休憩で笹倉と一緒になった時に、そう話したら
「まぁ、表面はそう見えても、内心はそれなり葛藤してると思うけど」
その証拠に、小西君がまた飲み会をしようと話してきても、適当に濁してしまったらしい。
流石に、そこに混じるわけにはいかないと思ったようだった。
季節は10月、これからじわじわと忙しくなっていく。
それまでに、またみんなで飲めたらいいなと思っていたけれど、そんな空気ではなかった。
それは、三輪さんのことだけでは、ないけれど。
反して全くマイペースの人もいる。
相も変らず営業の合間に店にやってきては、バームクーヘンを買っていくこの人は、今日も目立っている。
「もう、こんなにしょっちゅう来られたら、噂が全然おさまらないじゃないですか」
「へー。噂を気にするタイプとは思わなかった」
暇なやつには言わせとけばいいだろ。
藤井さんはそういうけれど、こちらは毎日出勤する場所なわけだから……まぁ、そんなに気にしないけど。
今日は、季節限定のハロウィン商品を選んだ。
営業先の女子従業員にお土産らしい。
三輪さんは、こちらが驚くくらい何事もなかったように出勤してきた。
朝、普通に挨拶しながら眼前を通過していく後ろ姿を見送って、釈然としないながらに安心した。
昼休憩で笹倉と一緒になった時に、そう話したら
「まぁ、表面はそう見えても、内心はそれなり葛藤してると思うけど」
その証拠に、小西君がまた飲み会をしようと話してきても、適当に濁してしまったらしい。
流石に、そこに混じるわけにはいかないと思ったようだった。
季節は10月、これからじわじわと忙しくなっていく。
それまでに、またみんなで飲めたらいいなと思っていたけれど、そんな空気ではなかった。
それは、三輪さんのことだけでは、ないけれど。
反して全くマイペースの人もいる。
相も変らず営業の合間に店にやってきては、バームクーヘンを買っていくこの人は、今日も目立っている。
「もう、こんなにしょっちゅう来られたら、噂が全然おさまらないじゃないですか」
「へー。噂を気にするタイプとは思わなかった」
暇なやつには言わせとけばいいだろ。
藤井さんはそういうけれど、こちらは毎日出勤する場所なわけだから……まぁ、そんなに気にしないけど。
今日は、季節限定のハロウィン商品を選んだ。
営業先の女子従業員にお土産らしい。