恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
君にもう期待はするまい
◇
休憩室がいつもより静かな気がするのは、皆疲労がたまっているからだと思う。
連日の忙しさに加えて誰もが殆ど休み無し。
この時期はお歳暮に加えクリスマスケーキの予約もあり、客は増える一方なのだ。
その点、カステラは余り需要が無い。
昨日の土曜日に休めたのはそういった店のカラーの違いによるものだ。
正月フル出勤という条件付きではあったが。
自動販売機でパックの飲み物を買おうと、硬貨をいれようとしたら、背後から手が伸びてきて、どれ、と聞かれた。
その声には、当然聞き覚えがあって。
「…いちごミルク」
「いつものコーヒーじゃないんだ」
「疲れてるから糖分補給」
販売機から音がして、彼が腰を屈めていちごミルクを下から差し出す。
「引越し作業お疲れ様」
「ありがとう」
そう言った瑛人君は完璧な営業スマイルで、私も作り笑顔で礼を言う。
相も変らず整った顔だが、目だけ鋭く見えるのは。
気のせい、ではなさそうだ。
休憩室がいつもより静かな気がするのは、皆疲労がたまっているからだと思う。
連日の忙しさに加えて誰もが殆ど休み無し。
この時期はお歳暮に加えクリスマスケーキの予約もあり、客は増える一方なのだ。
その点、カステラは余り需要が無い。
昨日の土曜日に休めたのはそういった店のカラーの違いによるものだ。
正月フル出勤という条件付きではあったが。
自動販売機でパックの飲み物を買おうと、硬貨をいれようとしたら、背後から手が伸びてきて、どれ、と聞かれた。
その声には、当然聞き覚えがあって。
「…いちごミルク」
「いつものコーヒーじゃないんだ」
「疲れてるから糖分補給」
販売機から音がして、彼が腰を屈めていちごミルクを下から差し出す。
「引越し作業お疲れ様」
「ありがとう」
そう言った瑛人君は完璧な営業スマイルで、私も作り笑顔で礼を言う。
相も変らず整った顔だが、目だけ鋭く見えるのは。
気のせい、ではなさそうだ。