恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
空腹もピークだし、一緒に食事しようってことになって、あのオーガニックカフェに立ち寄った。


実は夜に来るのは初めてで、昼間とはまた違って、暖色のランプのような灯りが良い雰囲気を作っている。


ドリンクメニューもアルコール中心に変わっていて、ワインが豊富なようだった。


残念ながら、明日も仕事だから飲まないけれど、今度ここで集まろうかってカナちゃんとひとしきり盛り上がる。



「にしても残念、絶対付き合ってると思ってたんだけどなぁ」


頬杖ついて唇を尖らせる彼女に私はしらっと


「そんなわけないよー。なんでそう思ったの?」



とぼける以外無いわけで。なんで第三者の私がこんなにあたふたさせられてるんだろうって、居ない当事者達に文句の一つも言いたくなる。


「なんか、皆で飲みの時とか。話すテンポが似てるというか……共通の空気を感じたんですよ。」



…鋭い。
それとも、あの二人がわかりやすいのか。



「なのに、二人とも苗字で呼び合ってるとこですかね?笹倉さんなんか特に、恵美ちゃんカナちゃんとか気安いのに、美里さんだけ苗字じゃないですか?」

「そう?キヅカナカッタナー」



……敢えて置いてる距離のせいか!


「みさは今は彼氏いらないって言ってたしね。ないよ~」


お似合いなのにとか、勿体無いとか私も何度か思ったフレーズが聞こえる。


みさに何度聞いても、恋愛感情と思しきものが沸かないから、とそんな理由で。
そうなる原因がどこかにあるんじゃないかって。


思うのだけど。
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