恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
◇
少々、からかい過ぎたかもしれない。
折角、恥ずかしそうにしながらも膝に収まってくれていた狭山が、遂に怒って離れてしまった。
ま、それはそれで、いいや。
照れて真っ赤になった彼女の顔が、離れた方がよく見えるし。
頬杖をついて眺めていたら、彼女が言った。
「ね。いつから好きだって思ってたの?前に聞いた時は、もっと曖昧だったじゃない」
「さぁ…いいだろ、今更」
散々考えたって、答は出ねぇ。
最初に順序をひっくり返しちまった辺から、気持ちにも自分にも自信が持てなくなっただけで。
本当は最初から、そうだったかもしれないなんて。
言っても、信じなさそうだし。今更。
「今は間違いなく、好きなんだし」
そう付け足したら、彼女はまたワントーン赤く染まった。
別に、返事はもういらん。
期待はしてない。
『なんかもう、もやもやしたものとか、そういうのに振り回されたくないの。
子供に専念したいしそうじゃなきゃダメでしょ、だから言わなかったの!』
顔を真っ赤にして、精一杯って表情でそう言ったその姿が。
……それって、好きって言ってるようなもんじゃねぇ?
俺には、狭山のギリギリの告白に見えたから。
『恋愛放棄 第一部』 end.
少々、からかい過ぎたかもしれない。
折角、恥ずかしそうにしながらも膝に収まってくれていた狭山が、遂に怒って離れてしまった。
ま、それはそれで、いいや。
照れて真っ赤になった彼女の顔が、離れた方がよく見えるし。
頬杖をついて眺めていたら、彼女が言った。
「ね。いつから好きだって思ってたの?前に聞いた時は、もっと曖昧だったじゃない」
「さぁ…いいだろ、今更」
散々考えたって、答は出ねぇ。
最初に順序をひっくり返しちまった辺から、気持ちにも自分にも自信が持てなくなっただけで。
本当は最初から、そうだったかもしれないなんて。
言っても、信じなさそうだし。今更。
「今は間違いなく、好きなんだし」
そう付け足したら、彼女はまたワントーン赤く染まった。
別に、返事はもういらん。
期待はしてない。
『なんかもう、もやもやしたものとか、そういうのに振り回されたくないの。
子供に専念したいしそうじゃなきゃダメでしょ、だから言わなかったの!』
顔を真っ赤にして、精一杯って表情でそう言ったその姿が。
……それって、好きって言ってるようなもんじゃねぇ?
俺には、狭山のギリギリの告白に見えたから。
『恋愛放棄 第一部』 end.