恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
「お父さん。今日家に居る?」

『あぁ、昼間病院に顔出すけどそれ以外は居るけど、どうした?』



父親の声を聞いてから、なんて言おうか今更考えた。
でも、うん。


考えても仕方ないな。



「お父さん、私結婚することになった」

『…は?』

「で、夕方には帰るけど、その人が挨拶したいって言ってるからよろしくね」



一方的にそこまで話して、怖くなって強引に電話を切る。
そして、笹倉を見た。



「…どうしよう。めちゃめちゃ軽いノリで言っちゃったけど大丈夫だと思う?」


見れば笹倉の顔は引き攣っていた。


「お前…今余計なハードル上げたな…」



だって、大見得切って一人で産むとか言っといて、今度は結婚するなんて、恥ずかしかったんだもの。


兎も角、今のでとても父親が快く出迎えてくれるという可能性はなくなった。



「ま、いいよ。どのみち、一度は殴られるかと思ってたし」

「いや、やっぱり私がなんとか説明するからさ。笹倉はそれから会った方がいいって」



だって、はっきり言ってここまでグダグダな結婚話になったのは全て私の所為だ。
そこらへんは自覚してる。



「いや、いい。余計こじれそう」

「……」


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