恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
いつの間にか詰められてる隣の椅子との距離。
上半身を引き寄せられて頭を抱え込まれたもので、不自然な体制。


お腹に力入れられないので微妙に不安定で、結果笹倉に全力でもたれ掛かる。


彼の匂いが、まるで檻みたい。
筋肉質だからなんか硬いし。



「笹倉ってさ。こういうタイプだった?」

「ん――…?」

「なんてか、こう。来る者拒まず去るもの追わずの。ドライなタイプだと思ってた」



頭の上に、笹倉の頭が乗っかっている。


別にこういうのがイヤだとか、そういう意味ではない。
甘ったるいのは苦手だけど。



「それってさ」

「うん?」

「なんでそう思ってた?」



なんで、って。


見上げても、彼の表情は覗い知れない。
顎が見えるだけ。


なんで、そう思ってたんだったか?
記憶を遡って、掘り起こす。



「…まだ、そんな仲良くもなかった頃からさ、なんだろう。色々熟れてそうなイメージは持ってたんだよね。多分、話し方とか、第一印象レベルだけど」

「ふぅん。そんで?」



そんで。
っちゅうか、質問したの私だったはずなのに、なんで私が頭働かせることになってるのか。

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