恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
◇
笹倉と二人並んで職場に訪れるのは初めてだ。
出勤ではないので、従業員出入り口は使わず直接売り場へ顔を出すことにした。
洋菓子フロアはそこかしこにピンクや赤のハートが飾られて、すっかりバレンタイン仕様になっている。
平日ということもあり、昼間はフロアも割と静かだった。
尤もバレンタインの表舞台は毎年上階のイベント会場に特設されるので、チョコ狙いの客は其方へ行くほうが多い。
夕方には会社や学校帰りの客が集まってくるだろう。
「カナちゃん!久しぶり、お疲れ様!」
売り場にカナちゃんの姿を見つけて、思わず駆け寄った。
「おい、走るなって」
「あ、ごめん」
ちょっと小走り程度だったんだけど。
後ろから来ていた笹倉に、軽く腕を引かれて止められた。
「み、美里さんじゃないですかぁ!」
驚いた様子のカナちゃんは、大きな瞳を見開いて、私と笹倉を交互に見る。
恐らく、一緒に来たことを訝しんでいるのだろう。
「今日はお仕事お休みですか?っていうか…美里さん」
小さく首を傾げると、顔を近づけて耳打ちした。
「笹倉さんと、仲直りしたんですか?引越し先も教えなかったでしょ?」
笹倉と二人並んで職場に訪れるのは初めてだ。
出勤ではないので、従業員出入り口は使わず直接売り場へ顔を出すことにした。
洋菓子フロアはそこかしこにピンクや赤のハートが飾られて、すっかりバレンタイン仕様になっている。
平日ということもあり、昼間はフロアも割と静かだった。
尤もバレンタインの表舞台は毎年上階のイベント会場に特設されるので、チョコ狙いの客は其方へ行くほうが多い。
夕方には会社や学校帰りの客が集まってくるだろう。
「カナちゃん!久しぶり、お疲れ様!」
売り場にカナちゃんの姿を見つけて、思わず駆け寄った。
「おい、走るなって」
「あ、ごめん」
ちょっと小走り程度だったんだけど。
後ろから来ていた笹倉に、軽く腕を引かれて止められた。
「み、美里さんじゃないですかぁ!」
驚いた様子のカナちゃんは、大きな瞳を見開いて、私と笹倉を交互に見る。
恐らく、一緒に来たことを訝しんでいるのだろう。
「今日はお仕事お休みですか?っていうか…美里さん」
小さく首を傾げると、顔を近づけて耳打ちした。
「笹倉さんと、仲直りしたんですか?引越し先も教えなかったでしょ?」