恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
元々の噂話ってのは、三輪さんが流したっていうヤツのことなんだろうけど。
私の耳に入ってくることはなかったので、気に止めることもなかった。
それがなんで今更出てくるんだ、と思わず周囲を見渡した。
藤井さんの名前が出るだけで口尖らせる人間がいるっていうのに。
「なんでそうなってんですか!噂の尾ひれって?」
んー?と仕事モードから外れた笑顔の店長が、頬杖を付きながら楽しそうに話してくれた。
「色々言われてたけどね、最終的には、貴女が藤井さんと向いの店の笹倉君と二股かけて、捨てられた笹倉君が豊田さんに涙ながらに訴えたって話になってたわよ。狭山どこにいるんだ、って土下座してたとかなんとか」
引き攣る頬が止められない。
噂って、怖い!
って、泣き落としってホントだったのか?
「笹倉、そんなこと何も言ってなかったけど…知らないんですかね?」
「どうかしらね、貴女はどっちにしろ、この百貨店に復帰することにはならないだろうし。働きにくいのは彼の方よねぇ」
そう、私の後任の販売員が既にいるのだから、増員でもなければ此処での復帰はないが。
彼は副店になったばかりで、暫くは異動なんてないだろう。
私の耳に入ってくることはなかったので、気に止めることもなかった。
それがなんで今更出てくるんだ、と思わず周囲を見渡した。
藤井さんの名前が出るだけで口尖らせる人間がいるっていうのに。
「なんでそうなってんですか!噂の尾ひれって?」
んー?と仕事モードから外れた笑顔の店長が、頬杖を付きながら楽しそうに話してくれた。
「色々言われてたけどね、最終的には、貴女が藤井さんと向いの店の笹倉君と二股かけて、捨てられた笹倉君が豊田さんに涙ながらに訴えたって話になってたわよ。狭山どこにいるんだ、って土下座してたとかなんとか」
引き攣る頬が止められない。
噂って、怖い!
って、泣き落としってホントだったのか?
「笹倉、そんなこと何も言ってなかったけど…知らないんですかね?」
「どうかしらね、貴女はどっちにしろ、この百貨店に復帰することにはならないだろうし。働きにくいのは彼の方よねぇ」
そう、私の後任の販売員が既にいるのだから、増員でもなければ此処での復帰はないが。
彼は副店になったばかりで、暫くは異動なんてないだろう。