恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
一頻り盛り上がって、それぞれ隣りだったり向かいだったり、別れて話し始めた頃。
私はカナちゃんと話していたのだが、
「ほんとに笹倉さんとは付き合ってないんですかぁ?」
自分の目の前に笹倉がいるというのにお構いなしに聞いてきた。
酒が入ると女子の会話はおのずと恋愛風味になりがちだ。
大変めんどくさい。
「カナちゃん、二人が苗字で呼び合うから余計あやしーっていうのよ」
反対隣から恵美がいう。
「私が苗字で呼ぶの、別に笹倉だけじゃないけど」
軽く肩をすくめて躱すけど、カナちゃんは納得がいかない様子。
「じゃ、笹倉さんは?なんで美里さんだけ苗字なんですかぁ!」
身体を乗り出す勢いに、笹倉は人差し指をくるくるとかざしながら、言った。
「えー……と、なんだっけ?名前」
「は?」
「苗字。覚えてねぇ。狭山がカナちゃんて呼ぶから苗字頭に残ってない。そんだけ」
「ひど!」
そんなわけない。さっきいじられた仕返しだろう。
大人気なくけらけら笑ってる。
「でもでも、絶対、なんか怪しい、なんか、こう」
ぶつぶつ言いながら、唸るカナちゃんを見て私も笑ってた。
「しつけぇな。美里、そこの鶏唐ちょうだい」
油断してたから、思わず固まった。
私はカナちゃんと話していたのだが、
「ほんとに笹倉さんとは付き合ってないんですかぁ?」
自分の目の前に笹倉がいるというのにお構いなしに聞いてきた。
酒が入ると女子の会話はおのずと恋愛風味になりがちだ。
大変めんどくさい。
「カナちゃん、二人が苗字で呼び合うから余計あやしーっていうのよ」
反対隣から恵美がいう。
「私が苗字で呼ぶの、別に笹倉だけじゃないけど」
軽く肩をすくめて躱すけど、カナちゃんは納得がいかない様子。
「じゃ、笹倉さんは?なんで美里さんだけ苗字なんですかぁ!」
身体を乗り出す勢いに、笹倉は人差し指をくるくるとかざしながら、言った。
「えー……と、なんだっけ?名前」
「は?」
「苗字。覚えてねぇ。狭山がカナちゃんて呼ぶから苗字頭に残ってない。そんだけ」
「ひど!」
そんなわけない。さっきいじられた仕返しだろう。
大人気なくけらけら笑ってる。
「でもでも、絶対、なんか怪しい、なんか、こう」
ぶつぶつ言いながら、唸るカナちゃんを見て私も笑ってた。
「しつけぇな。美里、そこの鶏唐ちょうだい」
油断してたから、思わず固まった。