恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
「教えるっつってもな。設定なんかは店でやってくれてるだろ。わからなかったら聞けよ」

「大変、何を聞けばいいかわからない」



だって。
何、この。


今までの携帯から何もかも違いすぎる。
よくわからないアイコンがたくさんあるんだけど。



「携帯で基本何してた?」

「電話とメールと携帯小説」

「あぁ、くれはちゃんのやつな」



いらんこと覚えてないでよろしい。



「それはもう終わった。今は幕末トリップ妄想モノ」

「は?」

「わからなかったらそれでいい」



軽口叩きながら画面を操作して、とりあえず最低限、電話とメールの遣り方はわかる。


その他、不明のアイコンを片っ端からタッチしていたら、ぱこぱこと二つ音がした。


画面から顔を上げれば、笹倉が指輪の箱を二つ閉めてどこかに仕舞おうとしているところだった。



「ねぇ、結婚したら、結婚指輪に変えるんだよね」

「だな」

「いつすんの?」

「覚えやすい日のがいいな」

「例えば?」

「バレンタイン?」



私は、手元の婚約指輪をじっと見つめた。
キレイだ。嬉しいけども。



「あと2週間足らずで、コレ、お役御免なの?」



勿体無い!余りにも!

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